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地団研ブックレット15
電子顕微鏡鉱物学からバイオ・地球史鉱物学へ
―鉱物版「科学運動」論と哲学―

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著者ISSN判型ページ数頒価送料
赤井純治0918-5372B5判106頁500円180円
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本書は、大きくは3つの内容からなります。
一つは、鉱物が地球全体の謎と深く関わっていること、地球の進化の中での鉱物、さまざまな環境問題と鉱物との深い関わり、特に生物との関わりを鉱物学の立場から明らかにしています。一言で言えば、バイオ・地球史の鉱物学(地球史鉱物学)です。これらを著者自身の研究史、鉱物の研究史、最近のトピックとともに扱っています。
二つ目は、今の複雑な世の中、困難な社会情勢、あるいは世界を見ると危険な動きもたくさんある中で、科学と、研究者はどうあるべきか、という問題を扱っています。独創的な研究活動の他に、教育もふくめた市民への普及の活動、まともな研究ができる社会的条件をつくる活動も重視した、三位一体の科学運動の鉱物版の実践経験をまとめています。地学分野だけでなく、他分野にも通じることにも触れています。
三つ目は、三位一体の科学運動を進めるための哲学の重要性を説いています。地団研ではもう少し広く、社会科学なども含めて「理論の学習」として強調されます。著者は、一人の哲学愛好者として、その意義を前の2つの課題に関連させた経験をもとにまとめています。
著者の、研究・普及・条件づくりの活動の実践経験をまとめた、貴重な1冊です。

【もくじ】
  • 第一部  電子顕微鏡鉱物学からバイオ・地球史鉱物学へ
    ―鉱物研究の歩みと新しい鉱物像の探求―
    • 第1章  鉱物の謎の解明史:規則性/結晶のなぞ追求の長い道のりから、ミクロの不規則性へ、そして相互作用への関心
    • 第2章  鉱物の運動像の基本
    • 第3章  鉱物の運動と「進化」
    • 第4章  鉱物と生物の相互作用にかかわってくる生物圏の「拡大」とバイオミネラリゼーション
    • 第5章  地球史におけるミクロ・バイオの鉱物学(1):鉱物と微生物の相互作用とその具体例
    • 第6章  地球史におけるミクロ・バイオの鉱物学(2):地球の歴史の中で鉱物をとらえる
    • 第7章  地球史鉱物学へ:現在と未来への展望
  • 第二部  哲学は科学にどう役立つか
    ―私の鉱物研究と実践的「科学運動」論―
    • 第1章  地団研の科学運動、三位一体
    • 第2章  未来をきり拓く哲学の基礎
    • 第3章  科学研究のどこに哲学・弁証法は役立つか?
    • 第4章  弁証法に関わる幾つかの問題
    • 第5章  その他どこに弁証法は決定的に役立つか?またその学習の仕方
    • 第6章  これからの地団研を考える:私の科学運動論
  • 図の出典補足
  • 引用文献
  • あとがき

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