地学団体研究会Web::出版物>双書>各号別詳細

地学双書39 地下水シミュレーション—目に見えない地下水流動を可視化する—

双書一覧を表示

著者ISSN判型ページ数頒価送料
鎌田 烈1342-6001A5判100頁700円240円
sosho_39_200_290.jpg
【地学双書39の主な内容】(「まえがき」より)
  地下水シミュレーションは,地下にあって直接その動きが目に見えない地下水の流動とそれに伴う地盤沈下や地下水質の変化をコンピュータ上で再現し可視化するものである。
  本書では,1960年代中頃から始まった我が国の地下水シミュレーションモデル開発の発展史について述べる。しかしながら,モデル開発の経緯やその概要については,1970年代初めから1980年代末にかけてすでに別の論文,書籍等で述べてきたところである。また,地下水シミュレーションで使用される数値解法については,水収支研究グループによる出版書(1972及び1976年)で詳しく述べた。本書ではこれら過去の書籍での記述を踏まえ,地下水シミュレーションについて適用例を含めて分かりやすく解説するよう心がけた。また,1980年代後半からは開発途上国に地下水シミュレーションの技術移転を行ってきたので,その実例について紹介する。
  地下水シミュレーションは初期及び境界条件と各種のパラメータを入力すれば結果が得られる。とはいえ,地下水シミュレーションは水文地質状況をどこまで詳しく解明できているか,シミュレーション結果に何を求めるかによって,その応用の利害・得失および限界を知ることが出来ると考える。本書がこれから地下水シミュレーションを知り,実際に応用する技術者に役立つことを願うものである。

【目次】
  • 第1章 水収支10年計画(1965年)
    • 1-1 水収支研究グループとは
    • 1-2 水収支シミュレーションの方向性(1980年代に向けて)
  • 第2章 首都圏の地盤沈下と地下水流動
    • 2-1 浦和水脈説とその実相
    • 2-2 地下水シミュレーションと地盤沈下予測
  • 第3章 地下水シミュレーションの黎明期
    • 3-1 シミュレーションとは
    • 3-2 佐賀白石平野の単位地下水盆モデル—「地下水盆」の概念登場—
    • 3-3 武蔵野台地へ平面二次元モデルを適用—我が国最初のデジタルシミュレーション—
  • 第4章 準三次元モデルの開発—限られたメモリーの中での最善を尽くす—
    • 4-1 加圧粘土層を通しての漏水と絞り出し
    • 4-2 平面二次元モデルとの接合
    • 4-3 偏微分方程式と解法
    • 4-4 地盤沈下シミュレーション
  • 第5章 垂直二次元断面モデル(V2D)—地質断面図をそのままモデル化する—
    • 5-1 V2Dの基本式
    • 5-2 船橋ガス田への適用—深層沈下の解明—
    • 5-3 SCOPEプロジェクト(1976)
  • 第6章 準三次元多層モデル及び三次元モデルの開発—コンピュータメモリの増加—
    • 6-1 準三次元多層モデルの概念と基本式
    • 6-2 準三次元多層モデルの実施例
  • 第7章 開発途上国への技術移転
    • 7-1 JICA研修員の受け入れ—途上国技術者の関心—
    • 7-2 JICA地下水開発調査でのシミュレーション
    • 7-3 マニラ首都圏,バンコク首都圏の地下水シミュレーション
    • 7-4 バングラデシュの砒素汚染地域への適用
  • 第8章 現在の地下水問題
    • 8-1 関心のある世界的トピックス
    • 8-2 地下水シミュレーションの現在
  • あとがき
  • 参考文献

双書一覧を表示