準備委員長挨拶

市原市市民会館全景(市原市役所第2庁舎屋上から)
第72回 地学団体研究会総会(市原)で皆さまのお越しをお待ちしています.

第72回 市原総会準備委員長 岩本 広志

いよいよ市原総会が近づいてきました。一人でも多くの会員の皆さまの参加を期待しています。

総会が開催される市原市は千葉県のほぼ中央に位置し、人口27万、面積は県内1位の368.17km2。市内を南北に流れる養老川があり、その河口の五井・姉崎地区には1968年までに東京湾岸で最大規模を誇る埋立地が完成し、京葉工業地帯と呼ばれる国内最大規模の近代工業地帯が立地しています。また市原市には、多くの貝塚とともに天平時代に建立された上総国分寺跡や国分尼寺跡などといった歴史的に重要な遺跡が分布しており、更科日記の作者(菅原孝標尾女)の住んでいた地でもあります。

市原市は,東京湾岸や養老川沿いに広がる沖積低地、総会会場の「市原市市民会館」の立地する標高20~60mの平坦な台地である下総台地、さらには養老川を遡っていくと、標高200~300mの小起伏の丘陵である上総丘陵となります。これまでそくほう紹介シリーズで取り上げた「千葉セクション(市原市田淵)」、「川廻し」は養老川の中流域に当たり、鮮新-更新統の半固結した砂層と泥岩よりなる上総層群が対象となったものです。隣の君津市・久留里市の自噴井群は、このチバニアン層準の砂層(帯水層)を仕上げた名水です。

一方、千葉県をトリビア的に見てみると、産業別GDPの都道府県ランキング(平成26年度)では電気・ガス・水道業が1位、農水産業・製造業・不動産業・運輸業が4~6位、中でも銚子港は親潮と黒潮の会合する好漁場で昨年まで7年連続水揚げ量日本1です。農産物の出荷量では枝豆・カブ・インゲン・菜の花が1位。千葉県の名産である1位の落花生とナシは、総会期間中の市原で早生ものが手に入ることでしょう。また、県内唯一のジオパークのある銚子市は、野田市と並んで醤油の名産地で、千葉県は国内シェアの3割を占めています。

総会シンポジウムは、学術シンポで「房総半島の隆起」、科学運動シンポで「高レベル放射性廃棄物の地層処分を考える」についての2本立てで行います。前者は、隆起海岸平野として有名な南房総の変動量を足掛かりに、地下を含めた千葉・房総半島の地形・地質的特徴について、地殻変動量の観点から、後述する処分地適合性への問題提起とも捉える事ができます。後者は、昨年7月に公表された「科学的特性マップ」の問題点、日本の原子力政策の歴史的変遷や各地の原発問題に取り組んでいる経験を紹介していただき、それぞれ肩の凝らない学習・討論会としていきます。

総会記念講演会は「チバニアンと地質学」についてホットな話題を申請グループ代表者の岡田誠氏から提供していただくとともに、特別展示を行い実際の古地磁気測定原理やGSSP候補のByk-Eテフラに迫ってみます。チバニアンについては、地元の関心が非常に高いため、講演会には多くの市民の方の参加が見込まれます。

巡検は、千葉県のほぼ隅から隅まで、チバニアンや銚子ジオパークを含む、プレ巡検2コース、ポスト巡検5コースの計7コースを行います。ポスターセッション発表も多く登録されています。おみやげは房州石のサンプル(鋸山産)ともう1品?を用意しています。

本総会は市原市、市原市教育委員会の後援を受け、パンフレット類の提供など多大なる協力を頂いています。また、チバニアン認証に向けて市原市民の地学に対する期待の盛り上がりは絶大なものがあります。チバニアンを契機に市原を楽しんでみてはいかがでしょうか。皆様のお越しをお待ちしています。